後夜

2010年5月14日 日常
今よりも少しばかり若かったわたしは

彼と恋人になるときに思った。

このひとと別れるときは
きっとわたしは泣くんだろうな。



まだそのとき、二十歳だったわたしは

それはもうゼンリョクで
恋をした。


ヤキモチ

くるしみ
胸のいたみ
胸のほぐれ
笑顔
心臓の音


ぐるぐるぐるぐる

いつも
いつも
ふたり乗りしてた。







いっしょにいれなくなったのは
なぜだろう。



ただわたしが最後に守ってしまったものは
間違いなく自分の気持ちだった。



長い間いっしょにいた人だから


つらくないといったら嘘になるけど



ごめんね

だけは言わなかった。


そしてやっぱり泣いた。


勝手だな。








「守りとおしたことを


やさしくやめた


手に残るものは


本当の愛ばかり」







学生のころ


彼のバイクの音を聞くのが好きで


ふとくつよく鳴るエンジンが聞こえたら




あ、学校についたなー


ってワクワクしてた。


わたしの胸に響いていた音。








最後のお別れのとき


オートロックの鍵を開けようとしたら


いつものバイクの音が聞こえてきて


思わず動きがとまった。








そしてゆっくり


さよならをした。




もう聞けない


もう聞かない



やさしくなる


今よりももっと







ありがとう。



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