いつの間にか、お母さんっ子になっていた。
昔は同じくらい父も好きだったはずなのに、仲良くすることがだんだん恥ずかしくなっていた。父と娘というものは、いつだって複雑だと思う。
 




わたしが中学3年生で高校受験をしていたときの話である。


わたしにはどうしても行きたい高校があって、その高校に向けて頑張っていた。

わたしが受けたのは英語科で普通の公立よりも受験日が早く、倍率も高くて人気が
集中する高校だった。親も応援してくれるし、勉強しながらも入学したら…という期待で頑張れそうな魅力的な学校だった。




そんな学校だったので簡単に合格できると思っていなかったが、合格発表当日、掲示板に自分の番号がなかったときはさすがにショックをうけた。


一緒に来てくれた姉は「そっか。」と言っただけだった。幸い私立には合格していたので、そのまま私立に入学を決めることも出来たのだが、母と話し合い、もう1度普通の公立高校を受験することに決めた。




父には不合格だったことを電話していなかった。父からも電話は来なかった。そのため後から後から・・・と思っていたが、結局母が気を利かせて父に電話をしてくれていた。
 




ところが母が電話をしたときには、わたしが不合格だったことを父は知っている風だったらしい。2人の会話はそれまでだったそうなのだが、母が言うには、わたしが発表を見に行く前に、父はきっと発表を見に行ったというのである。




そういえば、父の会社はあの高校から近かったなぁと思っていると、母が言った。
 





「そういえば、お父さん、あんたの受験番号何番か聞いてきてたなぁ。」
 









 
この話は結局、本当なのか嘘なのかは未だに分からないし、父にも聞いていない。もしかしたらわたし以外、もう忘れているかもしれない。けれどあの時、高校の校舎に1人スーツ姿の父親を想像した日をわたしは忘れないと思う。

















コメント

nophoto
ハギワラ
2008年11月11日2:14

ありがとう。

すみれ
2008年11月11日9:51

こちらこそ、読んでくれてありがとう。

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