去年か一昨年かの夏に

グアムへの社員旅行に

母がついて行くことになった。

奥さんならば安く行けるというやつだったかもしれない。


母はあまり

うれしいとか

悲しいだとかいう感情を

表に出す性質ではない。

ただ言葉には出さないだけで

見ればわかるし

態度や返事ですぐわかる。

なんだかんだ言って楽しみにしていた。

あたしは母と父が仲良くいるのが

大好きなので

いいなぁとか

お土産はぁとか

行きもしないのに勝手にウキウキしていた。



そして当日

行ってらっしゃいと楽しく見送ったはずの二人が

数時間後に家に帰ってきた。

わたしの父は

身体というのか精神というのか

独特の持病みたいなものを持っていて

よくため息をついたり

だるそうにしていたり

こっちが少し不安になったりする面がある。

その日も車で出発した後に

突然父が

頭が痛いと言いはじめて

びっくりした二人は

安静をとり、旅行を断念したのだった。




わたしはそのとき

帰ってきた父に腹が立った。

自分が苦しいということを

ほったらかしにして

人に心配ばかりかけて

結局楽しみにしていた

母の期待も叶えられず、無性に腹が立った。

子どもっぽいなぁと思うけれど

父だからこそ腹が立ったのだと思う。




わたしがブツブツ言っても

母は

文句も愚痴も言わなかった。

しょうがないとしか言わなかった。

ただ

足のツメにいつもは塗らないはずの

マニキュアが

いじらしく塗られていた。

それを見つめていた母が

あたしは忘れられない。

バカンスとは程遠い彼女の

すこしはじけた

オレンジパールのツメたち。



あの場面を思い出すたび

どうしても

胸がつっかえてしまう。

コメント

六花
六花
2007年12月4日23:32

はじめまして、ランダムジャンプで飛んできました。
本当に、胸につかえるお話ですね・・・。
お父様の調子がよくなったら、とは簡単にはいえませんが、
またお母様と一緒に旅行に行ける機会があるといいですね。

すみれ
すみれ
2007年12月6日20:53

六花さん>
はじめまして!コメントありがとうございます〜。そうですね、あたしもほんとうにそう思います。きっとふたりが仲良くいられるのが一番の薬だと思います。今はちょっと仲が悪いんですが。笑

なんだか長くなってしまいました☆読んでくれてうれしかったです♪

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